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トランプ大統領が6月に移民取り締まり強化に抗議するデモを鎮圧するため、ロサンゼルスに州兵を 派遣したのは連邦法に違反すると、連邦地裁の判事が判断した。
カリフォルニア州北部地区連邦地裁のブライヤー判事は、国内法を執行する目的で連邦軍の使用を制限する100年以上の歴史を持つ法律を、州兵派遣は「故意に」犯していると指摘。ロサンゼルスでの軍の利用を阻止しようと、カリフォルニア州のニューサム知事は6月に連邦政府を 提訴していた。
この判決の効力が及ぶのはカリフォルニア州に限られる。だが、米国内の他の主要都市にも軍を派遣すると示唆するトランプ氏がそれを実行に移す場合、裁判所がどう判断するかの前例になる。トランプ氏は既に、「制御不能に陥った」犯罪を取り締まるためと称して首都ワシントンに州兵を展開させ、シカゴやボルティモアにも同様の措置をとると警告していた。
トランプ氏は2日、シカゴについて「断トツで世界最悪、世界で最も危険な都市」と、不正確な内容をソーシャルメディアに 投稿。
「首都ワシントンでとったのと同様のやり方で、シカゴの犯罪問題を速やかに解決する。シカゴは再び安全になる」と続けた。
ブライヤー判事は1878年に制定された連邦法「民警団法」を引用し、内乱などの限定的な状況を除いて同法は治安維持に軍の動員を禁じていると論じた。ただし、さらなる法的措置がとられるまでの間、判決の執行は停止した。
「ロサンゼルスで抗議デモは実際に発生し、一部の個人は暴力行為に加わった」と同判事は判決文で指摘しつつ、「だが、それは内乱ではなく、軍ではない法執行機関がデモに対応し法を執行できない状況ではなかった」と説明した。
今回の判決は、州知事の反対にもかかわらず州兵を連邦軍の指揮下に置いたトランプ氏の決定に反発し、法廷闘争に入ったニューサム知事にとって大きな勝利となる。
ホワイトハウスは今のところコメントの要請に応じていない。
ブライヤー判事はこれまでに、トランプ氏に対し州兵の指揮を州当局に返すよう判断を下しているが、第9巡回区連邦控訴裁判所によって判決の効力は停止されていた。新たな判決は、適用法を民警団法に絞っている。
トランプ氏はロサンゼルスに約4000人の州兵と700人の現役海兵隊員を派遣。抗議デモの収束後、7月末までに数百人を除き全ての部隊は撤収した。
原題: Trump’s LA Troop Deployment Violated Federal Law, Judge Says (2)(抜粋)