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クリスマスの時期にネットでやたらと流れてくる画像といえば、『巨人の星』のクリスマス回である。
広い部屋の中、クリスマスパーティーの準備をしたのに誰も来ず、ひとりポツンと座る星飛雄馬。ぼっちで過ごすばかりか、自分が企画したパーティーに誰も来ないというあまりにも悲しすぎる状況に涙を禁じ得ない。
ぼっちクリスマスの極北のようなあの画像はネットミームとして有名で、ネットで「巨人の星」を検索すると2番目に「クリスマス」がサジェストされるほど。
あのパーティーを、ロケットニュース24編集部で実際に再現してみることにした。
・伝説のクリスマス回こと「巨人の星」アニメ第92話
流れてくるのはひとりぼっちでパーティー会場にいる星飛雄馬の画像ばかりで、あれがどういう話かは知らない……という方も多いと思う。そもそも、星飛雄馬はなぜクリスマス会を開こうとしたのか……?
あれはアニメ『巨人の星』第92話「折り合わぬ契約」の中のワンシーンであり、実はアニメオリジナルのストーリーである。
日米野球で宿敵オズマという外国人選手との対決の果て、入院してしまった星飛雄馬。オズマが出てくる悪夢にうなされており、その中でオズマに言われた「お前は俺と同じ野球ロボットだ!」という言葉が胸にひっかかっていたーーーそんな中、契約交渉の時期を迎え、ある理由からクリスマス会を開くことになるのだ。
以下、簡単にあらすじとともに再現したい。
・契約交渉が決裂!
盟友・伴宙太とともに「契約金がいくらでもサインする!」と話していた飛雄馬。
巨人から提示されたのは6割アップという好条件! 最初は喜んでサインをしようとしていたが……。
来季から宿敵・オズマが日本のプロ野球入りを希望しており、巨人以外のセ・リーグのチームに入るという話を聞かされる。
オズマの日本球界入りを聞いたとたん、飛雄馬の様子が変わってしまう。
星飛雄馬「気が変わりました! 10割アップ! 10割じゃないとサインしません!」
「じゅ、10割アップ〜〜〜〜〜!?!!?」
当然、球団との契約交渉は決裂! 新聞にも飛雄馬は新人のくせに傲慢だとバッシングを受けてしまう……。これには盟友である伴も困惑である。
・突然のクリスマス
伴とともに街を歩いていて、クリスマスムードに気づいた飛雄馬。野球漬けの人生で、クリスマスが24日か25日かもしらない飛雄馬だったが……。
なぜかクリスマス会を開くことを思いつくのだった。
「俺、やることができた! じゃあな伴!」
そんな飛雄馬を心配そうに見つめる伴。
伴の心配をよそに、浮かれてクリスマスの準備をあれこれとやり始める星飛雄馬。
特大ケーキを注文し、巨人の宿舎を片付け、手書きの招待状を明子姉ちゃんだけでなく、ライバルの左門、花形に送るのだった。
一方そのころ、実家では契約の難航を見て父・一徹は怒り、明子姉ちゃんは心配していた。
一徹「あいつは何を考えとるんだ!」
明子姉ちゃん「飛雄馬は考えなしにこんなことをする子じゃない……きっと何か考えがあるはずだわ」
・周囲の反応は……?
ド派手に散財する飛雄馬を心配し、伴が話を聞くと、飛雄馬はクリスマス会の計画を打ち明けてきた。
伴「なあ星、わしゃお前が柄にもないクリスマスをしようと、花形や左門と仲良くしようと、そんなことに口出ししとうはない」
伴「しかし、しかしじゃ、給料倍増の要求をしてからのお前は何か道を踏み外している! 元のお前に戻ってくれ!」
伴「巨人の星を目指し、まっしぐらに進んでいたあの姿、それ以外にお前の進む道はどこにあるんじゃ!」
伴の言葉にじっと耳を傾けていた飛雄馬だが……。
「野球以外、何もいらん、野球ロボットとして生きると誓った星飛雄馬はどこへ行った!!」という伴の言葉を聞いて、飛雄馬にスイッチが入ってしまう!!
飛雄馬「黙れ、伴!!!」
わからずやの飛雄馬に伴も呆れ……「何がクリスマスじゃああい!!!!!」
伴はついに怒って走り去ってしまうのだった……。
いっぽう、そのころ招待状を受け取った花形はチームメイトとともにクリスマスを祝っており……。
花形「ふん、なんでわざわざクリスマスケーキを食べに巨人の宿舎まで出向かなきゃならんのだ。野球一筋に生きる火の男、星飛雄馬。それ以外の星くんには全く興味がないね」
とあっさり無視。
そして、左門もまた、妹や弟たちとともに家でクリスマスを祝っていた。
左門の弟「なあ、あんちゃん、星飛雄馬からクリスマスの招待状が来とったろ? 行かんでよかと?」
左門「お前たちとの約束が先約やったけんのう〜」
弟たち「あはは! 星飛雄馬なんてやめとけやめとけ〜!」
左門は心の中で飛雄馬への闘志を燃やしていた!
「星くん、わしゃあ君に借りがありますたい! 君にその借りば返すためにわしの心が鬼になっとるこつば、君は知らんとですか!」
そして、このあとから、あのシーンが登場するのである!
・ひとりぼっちのクリスマス会、スタート!
あくまでもマウンド上での闘いにこだわるライバルたちの気も知らず、飛雄馬はひとり、パーティー会場で待っていた。
豪華なケーキや食事も虚しく……待てど暮らせど誰も来ない。
と、そこへ、誰かがやってきた!
同じ宿舎の先輩が左門と花形からの手紙を持ってきたのだった。
ガッカリしながら封を開ける飛雄馬。そこに書かれていたメッセージには……
左門豊作「星くん! 来年はこの左門、命ばかけて大リーグボールば打ち込んでみせますたい! パーティーはそれからでん遅うなか!!」
花形満「メリークリスマス、こんな言葉は不要だ! 君と僕との間に交わされる言葉はこれのみ。勝負!」
悔しさに震えながら、座席表を握りつぶす飛雄馬……。
だが、明子姉ちゃんは……明子姉ちゃんだけはきてくれるかもしれないと一縷の望みをいだく。
そこでまた誰かが来た! 今度こそ明子か!?
しかしやってきたのは寮の管理人で、電報を届けにきたのだった。
電報の送り主は明子姉ちゃん。そしてそこには……
「ザンネン ユケヌ アキコ」
ついに誰も来ないことがわかって苦悩する飛雄馬!
「きっと父ちゃんだ、父ちゃんが行かせなかったから姉ちゃんは遠慮してこれなかったんだ!」
みんなのために用意したプレゼントも、ケーキも何もかもが虚しく映る。
飛雄馬「結局……誰も来なかった!!」
頭の中でこだまするのは、またしてもオズマの言葉。
オズマの幻影「ふふふ、誰もこなかったな。当たり前だ。クリスマスは人間がやるもの! 貴様がこれだけの支度をして待っていた。しかし、誰もこない! 貴様が野球ロボットだということを知っていたからだ! ロボットはクリスマスはやらん!!」
飛雄馬「ちくしょおおおおお!!!」
パーティー会場をめちゃめちゃにし、泣き崩れ、暴れ回る星飛雄馬。
オズマの幻影「さあ、野球以外何もできない野球ロボットのために乾杯だ! はーっはっは!」
……と、アニメなら、こうして悲劇のままクリスマスは終わるのだが……。我々の再現はここでは終わらない!
・ロケット流にエンディングを変更じゃあああい!!!
この再現のためにかかった費用はザッと計算して2万5千円ほど。
壊してしまったら、せっかく用意したケーキやご馳走がもったいない! ということで、ロケットニュースではエンディングを変更します。
トントン
飛雄馬が泣いていたら、ドアが叩かれ、誰かやってくる。
「え……!?」
ドアをノックしたのは、心配して様子を見にきた伴だった!
伴「よう、星、きてやったぞ!」
その後も続々とやってくる仲間たち。
左門「兄弟とのパーティーで遅くなったばい、メリークリスマース」
花形「勘違いするな、巨人の宿舎に興味があって立ち寄っただけだ」
一徹「なんだ、この程度のパーティーか。お前もまだまだだな」
明子「飛雄馬、メリークリスマス!」
その他「メリークリスマース!」
飛雄馬「み、みんな……来てくれたのか!」
みんな「メリークリスマス! さあ、パーティーを始めるぞ!」
〜完〜
・今夜、アニメの無料放送も!
なお、トムス・エンタテインメントはアニメ『巨人の星』の第92話「折り合わぬ契約」を公式YouTubeチャンネルにて無料配信。
放送開始時刻は12月24日の午後10時を予定しているので、伝説を見たい人たちは、パソコンの前で正座待機せよ!
ロケットニュースの再現パーティーとの比較もぜひしてみてほしい。



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