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[6日 ロイター] - 米国株式市場は下落して取引を終えた。景気先行き不透明感や割高なバリュエーションが意識され、4日に見られたハイテク株売りが再開した。
特に人工知能(AI)関連のモメンタム銘柄の株価上昇に対する懸念からリスク選好の動きが弱まり、主要3指数はいずれも下落した。
フィラデルフィア半導体指数(.SOX), opens new tabは2.4%下落した。
主要指数はここ数カ月、AI関連株主導で最高値を度々更新してきた。同セクターの弱さは市場がハイテク株に依存していることを浮き彫りにしている。
マーフィー・アンド・シルベストのシニアウェルスアドバイザー兼市場ストラテジスト、ポール・ノルテ氏は「バリュエーションは長期的には引き続き懸念材料だが、(市場は)依然として強気だ。今週前半には1─1.5%下落したが、翌日どうなったか。80ベーシスポイント(bp)上昇した」と指摘。「押し目買いの心理はまだ残っている」と語った。
政府の経済指標が不足する中、この日は民間データが注目された。
再就職あっせん会社チャレンジャー・グレイ・アンド・クリスマスによると、米国で10月に発表された人員削減数は前月比183%増の15万3074人となり、10月として22年ぶりの高水準を記録した。コスト削減とAI関連の取り組みが主な理由に挙げられた。 もっと見る
これとは別に民間の人材分析会社レベリオ・ラボが6日発表したデータでも、雇用が減少する中、解雇件数が増加していることが示され、労働市場の悪化が示唆された。10月の雇用者数は9100人減で、政府部門が大部分を占めた。
シンプリファイ・アセット・マネジメントのチーフストラテジスト、マイケル・グリーン氏は「チャレンジャーの人員削減データは失望を誘う内容となり、労働市場は米連邦準備理事会(FRB)が認識しているよりも速いぺースかつ大幅に悪化している可能性が高まった」と指摘。これにより、パウエルFRB議長が議論の余地があるとした12月利下げが一部で再び織り込まれていると語った。
S&P総合500種(.SPX), opens new tabの主要11セクターでは一般消費財(.SPLRCD), opens new tabが2.5%安と下げを主導。エネルギー(.SPNY), opens new tabが最大の上昇率を記録した。
個別銘柄では料理宅配大手ドアダッシュ(DASH.O), opens new tabが17.5%急落。経費の増加で第3・四半期利益が市場予想を下回った。
画像共有アプリ「スナップチャット」を運営するスナップ(SNAP.N), opens new tabは9.7%上昇。第3・四半期の売上高が市場予想を上回ったほか、AI検索を手がける新興企業パープレキシティAIとの提携を発表したことが好感された。
ニューヨーク証券取引所では値下がり銘柄数が値上がり銘柄数を1.97対1の比率で上回った。ナスダックでも2.69対1で値下がり銘柄が多かった。
米取引所の合算出来高は207億7000万株。直近20営業日の平均は209億9000万株。