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渋野日向子という選手のその日を予想するのは本当に難しい。 試合前の出来と、実際のスコアとがリンクしにくく、外野からすると、良い意味でも悪い意味でも予想に反することが少なくない。 【画像】ピンクのもこもこウェアを着る渋野日向子「サンバイザー似合ってる」 1年全体を通しても言えることで、調子が悪そう……と思いきや、突然変異したかのように優勝争いを演じてみせる。2024年に笹生優花に次ぐ2位に入り、ことしは7位だった全米女子オープンなどは好例のひとつ。直前まで落ち込んでいた成績、周囲の喧騒などものともせず、2年続けて最高峰の大会を引っ張る存在のひとりになった。 “イイ方”ばかりに裏切られるわけではない。今季はとくに「今週こそは……」というファンの想いが何度も打ち砕かれたことだろう。言うまでもなく、誰よりもそう思っているのが本人である。苦い経験を積み重ねたまま、シーズンは佳境を迎えた。
“凱旋”ではなかった国内ツアー参戦
米女子ツアーの1年が第4コーナーを回りかけた今秋、渋野は日本ツアーでプレーした。“凱旋”といった喜ばしいものではなく、中盤戦までの戦績が振るわず、10月以降のアジアシリーズに出場できなかったからだった。 来季の出場権確保が目下、危うい。ポイントレースで現在104位に低迷し、年間で多くの試合に出られるトップ80入り、限定的な出場機会を得られるトップ100入りするためには、11月12日からフロリダ州で行われる米ツアー・アニカ driven by ゲインブリッジ at ペリカンでの好成績が求められる。大会を5位前後で終えてトップ80、35位前後でトップ100が見えるといった計算だ。 “一発逆転”の望みが絶たれた場合は、やはり限定的な出場資格を争う12月のQシリーズ・ファイナルステージ(最終予選会)に参加する。ルーキーイヤー前年の2021年以来、4年ぶりのゲームに生き残りをかける。 大一番を前に日本でこなした4連戦。出場前にハードスケジュールを組んだのは、米国でのプレーを見据えたものに他ならない。「休む選択肢はありました」と明かす。 「でも、やっぱり試合でしかできないこともたくさんある。いちおう、天秤にはかけたんですよ。1カ月、練習だけに集中するか、それとも(大会から)推薦をいただいて4試合連続で出るか、4試合から(数試合を)ピックするのか」 考えた末に渋野は実戦機会をフルに生かすことを選んだ。 「自信がない今の自分に、成功体験を落とし込みたいと思った。1カ月練習だけをするよりも、4試合出る方にメリットを感じました」